2018/01/12
最終更新日:2018/04/20

「管理職になりたくない」若者が増える理由


今回はダイヤモンドオンラインの記事『若手の「出世したくない症候群」』についての記事を考察してみたいと思います。
⇒参考記事【若手の出世したくない症候群はただの責任逃れではない?】
http://diamond.jp/articles/-/154404?page=2

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管理職になるのを望まない若者が増えている

私自身、ある仕事先でこのことを実感したことがあります。業務を処理する能力が高く、判断力に優れ、意思が強い将来有望な若い男性社員がいました。ただ一つ彼の欠点をあげるなら、ミスをした社員や仕事の能率が悪い社員に注意をする際に口調がきついことでした。
「なんでうまくできないのか、理解できない」と、不満だけをもらして周りに指導やアドバイスをしない彼を少し残念だと思い、管理職になれば違う目線を持ち社員を育てる意識が変わるのではないかと彼に言葉をかけてみました。

「〇〇くんは仕事もできるし判断力も優れているから、早く管理職を経験してみたらいいんじゃないかな?」
すると、返ってきたのはこんなセリフでした。
「僕は管理職とかにはなりたくないんです。」
(えっ・・・)
「それは、どうして?」
「管理職って責任が増えて精神的にも大変になるのに、それに見合うメリットがあまり感じられないんです。」

その言葉に、私は社会の閉塞感をようなものを感じました。現在の社会状況に期待を抱けないにしても、彼の言葉には仕事に対する将来への期待や意気込みがほとんど感じられなかったからです。
むしろ、淡々として冷静な言葉でした。

実際にいくつかの調査機関が実施したアンケートでも若手・中堅社員の男性50%、女性80%ほどが「管理職になりたくない」と回答しているそうです。なぜそう思うのか、今まで聞いたことのある理由をあげてみましょう。
「尊敬できる管理職がいないので、なりたいと思えない。」
「責任と負担が増えても、自分の裁量ですべて決めれるわけでもない。」
「たしかに給料は上がるが、抱える負担を考えるとその給料が見合っていると思わない。」

管理職になりたくない本当の理由とは

記事ではリーダーシップ研修での若者の行動や感想が紹介されており、それは現代の若者の考えをリアルに反映したものでした。

リーダーシップを表現する演習で、リーダーはまずみんなに声をかけて同じ方向に誘導していき、途中でつまづいたり迷ったり立ち止まる人が出るとまた声をかけ、またリーダー自身が立ち止まったときには、他のメンバーがリーダーに声をかけるという行動が見られたそうです。

❝「今は多様性の時代にそれぞれの考えを持った人が働いている。リーダーは一人ひとりと向き合い対話し、迷ったり立ち止まったときはリーダーだけでなく、みんなで声をかけあい、相互に支えあうことが必要」❝

正直、素晴らしい意見だと思いました。大人が見習うべき姿勢とさえ感じます。

昔は当たり前だった、リーダーが先頭に立ち目標を掲げ、その背中を見て各立場の部下が育っていくというようなピラミッド型の組織構造はもはや古いのかもしれません。今の若者は子供の頃からネット社会に接しており、あらゆる情報を手にすることができます。個人が接する世界が家庭や職場に限られていた昔とはすでに違い、今コミュニティは全世界にSNSで簡単につながることのできる環境になっています。

ところが多くの企業は体質が古いままの組織構造を抱えており、新しい組織の在り方を模索することもせずに、古いやり方で組織のルールを守ることや成果を求めます。それが若者には強烈な違和感となり、会社への不信感が増え、将来への期待を持てなくなってしまうのでしょう

自分が変えていけばいい、と思える強い若者は少ないと思います。実際に強い気持ちがあっても立場が上の上司や会社を変えていくのは至難の業です。管理職になっても、さらにその上はさらに古い考えの幹部がいます。組織や会社に期待が持てなければ、責任が重い管理職になりたくないと考えてしまうのも仕方がないことかもしれません。

入社してすぐに辞めてしまったり、何かを期待することを諦めて淡々と業務をこなすだけの若者を非難する声を多く聞きます。私自身、突然いなくなってしまう社員を何人も見てきました。そして「社会人として意識が低すぎる」「やる気がない」「責任感がない」と、なんど周りから聞いたことでしょう。しかし、驚いたのは若者でさえもその非難する側に混じっていたことです。彼らは、共感できない尊敬できない上司や幹部と同じ言葉を言ったのです。

でも、気づいたのは彼らの言葉の裏には『俺は(私は)我慢して働いてるのに、逃げるなんて』という心境があることがわかりました。なんとも悲しい社会の在り方だと思いました。

環境を変え、リーダーを育てる

このブログの別の記事「辞めたくなる会社と社員が続く会社の違いとは?」でも触れていますが、若者が力を発揮して働ける環境を作るためには、経営者・幹部・管理職・中堅社員のそれぞれの人々がリーダーシップについて勉強し、実践していくことが必要だと思います。

環境を作ること、変えていくことは一人ではできません。そして、下から変えていくのは難しい。より上の立場の人から現場の管理職までが、何より意識して獲得しなければならい必要なスキルとは、『人を育て、環境を整え、個々の精神を守る意識』です。

私たち社会の中堅世代がこれからの社会を背負うという自覚を持たなければと思わせられました。


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