今回の話題は「社員が辞めない会社のマネジメント」です。
おそらく現代では、仕事を一度も辞めたことがない人は少ないでしょう。「辞めようかな」と最初に思った瞬間、仕事を辞めるまでの長い葛藤、そして辞める決意をしてからの上司との話し合い、この一連の時期はすごく頭を使う時期だと思います。そして「人はなぜ会社を辞めたくなるのか」という理由について、まとめていきたいと思います。もし、すごく環境が良くて楽しくて仕事のやりがいもあるなら、そう簡単に仕事を辞めたりはしないはずですよね。
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目次
人が辞めにくい、続く会社に共通することとは
上司と部下が対話する場がある
これは本当に大事なことだと思います。
かくいう私も管理職時代、従来の制度であるコーチング制度に社員の意識を向けることがうまくいかず、コーチングの代わりとして毎月部下に実施していたのが「対話(ヒアリング」でした。まあ、コーチングがうまくいかなかったから、せめて話だけでもしようとしていただけに過ぎませんが・・・笑。色々な仕事をした経験から、やはり業務以外でわざわざ対話の時間を取る会社は少ないと感じます。組織構造がしっかりしていて、なおかつ上層部が人材育成に力を入れている会社が、こういった制度を取り入れている印象です。
社員から話ができる空気、環境がある
社内や部署内で良い空気が保たれている職場というのは、上司が部下とよく話をしている気がします。部下のほうも上司に言いたいことや相談があれば「ちょっと相談があるのですが・・・」と切り出せるのなら、良い職場だと言えるでしょう。仕事に追われていて忙しい中でも、そんな部下の話に時間を割いてくれる上司がいるのなら、組織としてはまずまず良い環境ではないでしょうか。
コーチングなどの対話の場では、自然に話を聞くのは、少々難しい場合もあります。部下からすれば上司があらたまって目の前に座っている。正直「何を言われるんだ?」と緊張しますよね。空気は最初重々しいものになりますので、上司としては「近況を聞きたいだけだから、そんなに緊張しなくてもいいよ。」と空気をなごませる一言から始めることになります。そして、不満や自分の仕事についてどう思っているかをさりげなく聞き出します。
しかし結果的には、社員からしてみると、話を聞いてくれる会社の姿勢が感じられるだろうし、言いたいことがあれば遠回しにでも伝える機会になります。また、今後のキャリアや転職について上司に探りを入れられる(笑)などのメリットがあるでしょう。そして上司のほうは、辞める可能性のある社員を見つけ出すことができます。誰かが辞める前に人材が補充できればベストですし、有力な社員なら気持ちが変わるように早めに手を打つことも可能です。
将来のキャリアの方向性やプランを示してくれる
これはたとえば、
「君が今のこの業務内容でやりがいがないと思うなら、たとえばこういうのはどう?」
と、違う業務で社員のやる気を引き出すテクニックとか、
「順調に業務をこなせてるね、もし君にやる気があるのなら、こういう仕事を任せたいんだけどどうかな?」
とキャリアアップで意識を高めるのもいい。
「人間関係が・・・」とか対処の難しい問題を相談された場合は、辞めそうかどうか探りつつ、
「たとえば違う部署に異動したら、きみは仕事がずっとやりやすくなるかな?」
など、すぐに実行が難しくてもやれることは対処するよという姿勢を示せるし、
「じゃあ、絡みが少なくなるようにこういった対応をしてみる。そのかわりに、距離を置いてきみも彼に対する考え方を見直してみてほしい」など、人間関係の改善に結びつく捉え方を社員にアドバイスできたりするかもしれません。
キャリアパスって、給料とか肩書とかだけじゃないと思うんですね。上記のように社員の意識に合わせて仕事のやり方を工夫したり変えていく会社の姿勢を見せることによって、社員個人が自分の将来の仕事像にプラスなイメージを描いていけることもキャリアパスだと思います。
社員がすぐ辞めたくなる会社は、やはり社員と向き合っていない
これについては、正直に「今の日本って、そんな会社ばっかりだよ?」って思ってしまいます・・・。(悲しい)
もちろん、社員と向き合う良い会社もたくさんあるでしょう。でも、その何倍もの会社が社員と向き合う体制ができていない。それは、社員の精神面の面倒を見ようというくらい精神的に余裕のある上司が、めったにいないということ。上司のせいではなく、みんなが生活やお金のことで必死で他人のことを気にかけてる余裕がない、そんな今の日本社会の厳しい現状が浮き彫りになっていると思います。
なぜ会社を辞めたくなるのか・・・
「この会社(職場)は、きっと何も改善してくれないだろうな」
「この先も、この環境(状況)は変わらないだろうな」
「もう、ココに自分の将来はないな・・・」
っていう絶望感とか諦めを感じたとき、でしょう
「辞めたくなる会社」とは・・・
・社内環境を良くしようという志がある上司がいない
・社員の不満や不安を聞こうとする上司がいない
・キャリアアップの道筋を示す上司がいない
つまり上司が悪いのか!?っということでありません。上司の意識を育てるのは、さらにその上司や経営陣、つまり会社です。意思の強い影響力のある上司を育てる環境がある会社が、良い会社なのだと思います。そして、上司が部下を気に掛けるだけの余裕を持てる環境が会社にあることが前提ですよね。
余談ですが、大企業で新人研修とか業務研修とかはとんでもなく時間をかけるのに、「管理職研修」なるものが「ただの管理業務についての研修」でしかないのは、何故なんだろうと思ったことがありました。入社時の研修も同様ですよね。すごく入社研修に力を入れているのに、配属されると全然指導などがない、という。
メディアに取り上げられていたり、ネットニュースでよく見かけますが、「リーダーシップ研修」で外部の講師を呼ぶ会社や、個人的にビジネス本やセミナーでリーダーシップを学ぶ企業戦士は尊敬します。そうした意識や努力が、勤続年数や今までの功績とは別な特別な人間スキルが管理職には必要なのではないでしょうか。
・・・政府が国家資格とか作ったらいいんじゃないかな、と思います。今はいろんな資格がありますよね。意味あるの?って資格もたくさんあるくらいです。「ビジネス管理上級資格」とかどうでしょうか。MBAのもっと現場版みたいなやつ。
「事件は、現場で起きてるんだ!」
その資格あれば企業の管理職に就職しやすいとか優遇する環境ができれば、もっと管理職に意欲を持つ若者が増えるのではないでしょうか。昨今の「管理職になりたくない症候群」への対策にもなりそうです。
そういう精神面で人を育てる熱意のある上司がたくさん増えれば、日本企業の未来はもっと明るくなるんじゃないかと思う今回のテーマでした。
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