社会の中での自分を見失いそうになったとき、自分の立ち位置がわからなくなったとき、自信を失う人は少なくないだろう。
転職のときには、その人の自信の有無は表情に確実に表れているし、面接官にもそれは伝わる。
良い転職というのは、良い職場を探すことではなく、自分の能力やスキルを活かせる職務につくことだ。
ここで間違ってはいけないのは、こだわるのは「業界」ではなく「職種」だということだ。スキルを活かせるとしたら、それは「会社」ではなく「部署」である。
転職の際に条件にばかり意識を取られて会社を選ぶ人は多いが、自分の能力が活かせる「部署」「職種」を見定めることが、のちに「良い転職ができた」と振り返る可能性を高めてくれる。
そう、転職成功のカギは求人広告にあるのではない、自分の中にあるのだ。
今回は、それを改めて認識させてくれた記事を見つけたので紹介したい。
foeves japanの記事「大手百貨店から転職した「日本一負けず嫌いな自治体職員」を読んで、改めてスキルを活かした転職と、転職先で力を手に入れる過程について考えさせられたので、ここでシェアしたい。(リンクは記事下を参照)
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目次
転職はスキルから考える
会社ではなく職種を選ぶというのは、どういうことだろうか。
これには、まず転職でよく聞く声を挙げてみよう。
「仕事が少ない」
今や日本の求人倍率は2.36倍だ。(2018年4月時点)
つまり1人につき2件以上の求人が可能だということだ。これは「仕事がない」とは言えない。
業種によって差があるので、転職サイト「DODA」より引用させていただこう。
❛❛ 2018年4月業種別求人倍率
・IT・通信 6.15倍 前年同月比 ⇑ 0.02
・メディア 2.20倍 ⇓ -0.55
・金融 1.37倍 ⇓ -0.58
・メディカル 1.90倍 ⇓ -0.75
・メーカー 1.87倍 ⇑ 0.09
・商社/流通 0.95倍 ⇑ 0.08
・小売/外食 0.98倍 ⇓ -0.19
・サービス 2.70倍 ⇓ -0.29
・その他 1.59倍 ⇓ -0.17
求人数も高い水準を保っており、転職希望者の増加も続いている。❜❜
「やりたい仕事がわからない」
やりたい仕事など、実は本当誰もわかっていない。
あるとすれば「働いてみたい業界」があるだけだ。
つまりそれは「ステータス(名刺)」への憧れにすぎない。
「会社に内定をもらったけれど、望んでいた部署ではなかった」
これは難しい問題かもしれない。
日本は会社内で部署の人間を異動させることもあるし、採用した人間に会社の基本を覚えさせるため、求人で示していた部署以外に配置したりすることがある。
こういった問題を避けるためには、下記を意識して転職を行おう。
①応募する前の事前調査をしっかりと行う。
②面接で企業がどういった人間を求めているかしっかりと聞いておく。
求人情報に部署は記載されていたか?
どんな人間が求められているか、どんな仕事の増員や補充を望んでいるか?
③自分がどういう仕事をしていきたいのかアピールしておくこと
さて、スキルから転職を考えることについて戻ろう。
最後の章に例を挙げているが、自分ができることをまずリストアップすることから始めよう。
そして、それはどこでできるか考えよう。
意外とどこでもできるということに気付くかもしれない。
そして、興味のある業界から先に挙げた「できることリスト」に合う求人を探してみる。もちろん、そのあとに業界を問わずに求人を見るのも必須だ。
あなたはおそらく、あまりにも選択肢がありすぎて、どうしたらいいかわからなくなるかもしれない。それほど、あなたが仕事できる場所は多くあることに気付いてほしい。
そうつまり、あなたがどんな仕事がしたいかは、後でいい。
なぜなら、あなたがしたいことは本当は場所を選ばない。
また、やりたいことはなくてもいい。
やれることがあれば、それを続けられるなら、それが満足感になる。
だから、まずはスキルを認識し、それが活かせる職場を探すことだ。
あなたの価値を周りはわかっていない
これは逆に言い換えると、こうも言える。
「あなたの価値をあなた自身わかっていない」
よくこういう質問を見かける。
「仕事できないと思われてるような気がします。」「自分がダメな人間な気がして・・・。」など、自身の人間性への不安から来ているようだ。
たしかに、周りはあなたをこのように思っているかもしれない。
でも、周りはあなたを本当に見ているのだろうか?
あなたの頑張ってきた今までの人生を知っているだろうか?
価値を与えてほしいなどと、周りに期待してはいけない。
彼らは彼ら自身を満足させるために働いているのであって、あなたを喜ばせるために働いているのではないのだから。
また、こういった声もある。
「社会経験が少ないため転職できません。」「行きたい業界がありますが、経験がないため難しいです。」
あなたの知識は少なすぎる。
資格が必要な仕事でも、勉強中でも受け入れてくれる会社がある。むずかしい業界でも未経験でも受け入れる会社も存在している。 まず、求人を眺めてみるといい。
問題はあなたの自信のなさであって、社会や求人状況のせいにしていては、あなたは大事なことを見失う。あなたには、できることがあるということを見失う。
たとえば、あなたは店の番はできるだろうか?
私は花屋だった頃、店番を確実にこなしてくれるスタッフをとても重宝して感謝してた。安心して外出したり休憩できるからだ。
あなたは掃除はできるだろうか?
販売職の頃、暇があれば店をキレイ掃除してくれる女の子がいた。掃除を率先してやってくれる子は実はあまりいない。私は彼女を一番可愛がった。
別の記事でも書いているが、自分の価値を再確認することは重要だ。
⇒【関連記事】能力ではなく自分の価値を示す
人は価値を社会に定義してもらおうとする。
しかし、社会はあなたが望む評価をくれはしない。
自分の価値は自分で定義し、それを見せる努力が必要だ。
努力し続けて、ようやく周りの人はあなたの魅力や才能に気付くのだ。
努力し続ければ、あなたの価値は誰かに伝わる
真剣に仕事をしても無意味だという人がいる。
それはある意味では正しいことかもしれない。
上司はあなたをしっかり評価していない。同僚もそういう目であなたを見ていない。
人は人を「居心地がいいか」「付き合いやすいか」「言うとおりに動いてくれるか」
など、自分がラクをできる、自分を心地よくさせてくれる、そういったことで好印象を持ちやすい。
しかし、本来ビジネスでそれは間違いなのだ、
それをわかっていない管理職や社員はあまりにも多い。
仕事は高め合うもので、社会をより良くするためのものなのだ。
「頑張っても無意味だ。」という多くの人は、努力しても評価や報酬が伴わないことに諦めや失望感を持っている。
しかし、本来人間はそういった形があるもので本当の達成感を得るのではない。
形あるものを得ることで、自分の価値を信じられることが、本当の意味でその人の達成感や充実感につながる。
あなたの胸にぜひ聞いてみてほしい。
あなたが過去、憧れたり夢見た仕事像はどんなものだっただろうか。
foeves japanの記事「大手百貨店から転職した「日本一負けず嫌いな自治体職員」で取り上げられた大垣さんの話を参照してみよう。
❛❛大垣は、生駒市初の民間経験者採用枠として入庁したが、当時は先輩職員から「ほんまに何もできひんな」と苦笑いされた。❜❜
どんなに素晴らしいキャリアを持っていたとしても、欧米の能力でヘッドハンティングして仕事に加わるスタイルを取っていない日本では、転職した当初は基礎の中の基礎から覚える羽目になる。自分が得意ではないことや、経験がないことでもだ。
どんな能力があっても、最初はそれを発揮するチャンスはなく、あなたは評価されない。
大垣さんも当初は評価されているとは、間違っても言えなかった。
❛❛その後、大垣は持ち前の負けず嫌いを発揮して、他の先進自治体から貪欲にノウハウを学び始める。そんななか、市民活動を紹介する広報誌の企画で、ひとり暮らしの高齢者に弁当を配達する団体を取材した大垣は、市民の熱い思いに胸を打たれた。泣きながら3時間話を聞いて、その感動を広報誌に書いた。
広報誌が発行されると、取材した団体の代表者が役所に来て、
「いままででいちばん思いを汲み取ってくれた取材だった。ありがとう」と大垣の上司に言い残していった。大垣は地方自治体の仕事は社会人冥利に尽きると実感し、言い訳をせずに頑張ろうと覚悟を決めた。
その後の大垣の取り組みなどから、生駒市は全国広報コンクールで入賞を重ね、一躍、大垣も前述のように脚光を浴びることとなる。❜❜
現在、大垣さんは「ノック」という全国の行政広報担当者が学び合う場を立ち上げ、そのグループは全国から志高い100人以上の自治体職員が参加し、各自のスキルアップに貢献しているという。
さて、仕事で周りがあなたを「融通のきかない、個性的で扱いにくい人」だと思ったとしよう。
でも、あなたが真剣に仕事をしていれば確実に「その真剣さ」は伝わる。
これは間違いない。
そして、あなたに良い評価を与えなくとも、少なくともあなたに文句を言う人は減る。
文句があったとしても、言わなくなるのだ。
「あいつは行っても聞かないから」などと、無理やりこじつけてくる輩がいるが、無視していい。
あなたは真剣に仕事している。そんな人に誰が文句を言える?
何かを言ってくるとしたら、上司でさえもあなたに「お願い」や「依頼」の態度で臨むだろう。
そうでない人がいたら、気に知る必要はない。その人はあなたほど真剣に仕事をしていない。
そこからが、「あなたがやりたい仕事をする」「やりたいように仕事をし始める」スタートラインだ。 それはつまり、人があなたを認めたということである。
私が考え方を広げて、転職の幅をひろげた体験
私は、会社員時代に築いたPCやシステムの処理能力と、プライベートで培った対人能力で、キャリアや評価を広げることができた。もちろん努力して一定のスキルを得た。
その後、出版業界の総務部から花屋という全く違う業界に転職したのだが、花を売るという基本的な仕事を習得したあと、コミュニケーションが得意だと認識されて、広報の打ち合わせ担当になった。
また、コツコツしたPC作業が好きなこと、花作りにおいて色彩感覚が優れていると評価され、HPの更新やサイトデザインの打ち合わせなど、HP管理業務を任されたこともある。
そういった数々の能力が総合的に評価されて、管理職として花開くことができた。管理職になった際には、経営全般や売上や経費などの数字管理の勉強をすることもできた。
まぁ、あまりにも手を広げすぎ、引き受けすぎて過労で倒れた話はここではいいだろう・・・。
たくさんの経験をできたのは、そこが個人で立ち上げた小さい会社だったからであるが、そこで経験したことを大手企業で経験することは難しかっただろうと思う。大手企業は各業務が部署に分かれているから、部署間を渡り歩くことはあまりないのだ。
つまり、小さい会社にはそういった利点もある。
花屋を辞めたのは不本意な退職であったし、結局挫折したにもかかわらず、事務職を辞めたときとは比べ物にならないほどに、私には色々な経験と知識が身についていた。
そして、仕事を見つけるときに「やりたい業界に入ってみる」やり方だったのが、「私の能力が使える業種や部署を持つ会社+興味のある業界」というスキル目線での転職方法に変わった。
そうなってから、求人広告でも探せる業界や会社がとても増えたし、可能性もたくさんあるのだと転職を明るく見渡せるようになった。
転職は後ろ向きの姿勢よりも、前向きで明るい姿勢のほうが成功しやすいのは、言うまでもないだろう。
あながが今までの仕事で一番努力したことを見つけよう
たとえば、ある人にとっては「私はExcelで部門経費の集計をするのが得意です」というものが自信かもしれない。
「人とコミュニケーションを取るのが好きで、今までも職場内の人間関係を良くするために間を取り持つことが多かった」でもいい。
あなたにも仕事ですごく思い入れが強かったことや、人よりも専門書を読んだり勉強をして努力したことがあるはずだ。そういったことは表立って表彰されたりはしないが、実はあなたの一番の強みである可能性は高い。
それを次の仕事でも活かすことを考えてみよう。
「人間関係を構築したり、調整するのが得意」な人は、会社はおそらくどこでもいい。
しかし、部署がいくつかある会社のほうが部署間のコミュニケーションに貢献できて、各部署の部長などから評価をもらえるかもしれない。
「パソコンが得意」であるならば、IT系企業で専門性を磨くのもいいだろうし、ITやPCをあまり取り入れてなさそうな小さい会社で、その能力をアピールして、システム部門を一手に任されることを狙ってもいいだろう。
「文章を書くのが得意」なら、ライターや出版業界でその能力を発揮できる職種以外にも、クラウドソーシングで記事をたくさん書いて、継続した仕事をもらえる契約を目指してもいいし、エッセイや短文、小説などを投稿して入選することを夢見ることもできる。
「販売職が好き」なら、これも会社は選ばないだろうが、給料を上げるために営業部門がある会社を狙ってもいいだろう。
このように、スキルや能力に焦点を絞って、業界や会社の選択肢を広げると、求人の幅は広がる。意識を広げれば転職のやり方は変わってくるのだ。
その最善策は、自分の中にある「強み」を見つけることだとおすすめしたい。
⇒今回の参照記事「大手百貨店から転職した日本一負けず嫌いな自治体職員」forbes japan
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