2018/01/16
最終更新日:2018/04/20

定年退職者の「孤独という病」を第三の生き方に変える


さて本日は、東洋経済オンラインの『日本男性を蝕む「孤独という病」の深刻度』『人生100年時代の今、どう生きるべきか』という記事を皮切りに、定年後の孤独やそれを回避する生き方について考察していきます。

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結婚はもはや常識ではない?

今の社会で結婚をしていない男女は増え続けており、将来には男性の30%、女性の20%が生涯未婚になると予測されています。筆者のまわりでも30代後半の友人の未婚はもはや当たり前となってます。背景には経済の低迷下における収入の低さが圧倒的理由と考えられますが、実際には経済的理由よりもコミュニティ離れの進みが問題ではないかというのが私の見解です。

私や周りの人間を見ていると、学生時代や20代の頃のような活発な人との交流は、30代では一部のアクティブな人々を除いては減少傾向にあり、家と仕事先の往復だけの人は多い。スマホやパソコンなどで簡単に人と繋がれる現代、家の中にいても人との交流が図れるだけに、外に出る必要性は少なくなりつつあります。

買い物や習い事、勉強などありとあらゆるものがインターネット上で可能になり、家を出なくてももはや生きていけると言えます。人と実際に接する機会が減れば、恋愛など密接なコミュニケーションを図る相手と出会える確率が下がるのは当然のことですよね。

しかし、これを否定しようにも私自身、仕事や買い物など以外であえて人と関わるための活動をしていないと実感しています。アクティブになれと言われてもどうすればいいのかわからない。私たちはこの先の長い人生で、孤独から逃れるためにどういった姿勢や行動をすべきなのでしょうか?

孤独を恐れない生き方の落とし穴

孤独死が社会問題となりつつある中、「孤高に生きる」「孤独を生きる名言」「孤独のすすめ」など、ポジティブなメッセージを伝えるメディアも増えつつあります。確かに、一人で内省する時期は大切であり、真の人間としての強さを得られることもある。しかし、仏門に帰依する人間でない限りは、社会とのつながりの中で生きてこそ、人生を生きていると言えるのでないでしょうか。達観や諦め、選択の結果ではなく、人との関係性を持つことを手放してはいけないと私は実感します。

これは日本に限った現象ではなく、先進国で見られる現代の特徴だということが、東洋経済オンラインの記事で紹介されています。

❝『世界中の多くの国々で、「孤独伝染病」が蔓延している』❝というアメリカ心理学会での心理学教授の発表や、ハーバード・ビジネスレビュー誌上の❝『孤独は深刻化する伝染病であり、その対処は喫緊の課題』❝などの論文は、人々の孤独は深刻な社会問題であると提議しています。孤独は気づかぬうちに人を蝕み、健康を害し、人間の身体と精神の健康に甚大な負の影響をもたらすことが、数えきれないほどの科学的研究によって明らかにされています。

みなさんも、一度は孤独に対する不安を抱いたことがあるのではないでしょうか? たとえば、がんになることは誰にとっても耐えられない恐怖です。しかし、病気になる前の健康な若い私たちにはすでに「孤独」という病を抱えているのかもしれません。

孤高に生きることと、人生の幸せとは

孤高に生きるとは、一人で生きることではなく、人と関わり社会と繋がりながら、個人として尊厳を生きるということです。日本人は我慢強いことが美徳とされていますが、度を超すとそれは負担になります。人との交流と、個人としての時間の両方をバランスよくコントロールできる人でなければ、「孤高に生きる」ことは人生の価値を見失う結果になりはしないでしょうか。

記事の中で被験者の人生を10代から老年期まで75年間という長期間にわたりつぶさに記録したハーバード大学の長期研究が紹介されていおり、この研究を指揮していた心理学者はこう述べています。

❝『幸せな人生に最も必要なのは、「良い人間関係」です。』❝
家族や友達、コミュニティとよくつながっている人ほど、幸せかつ健康的で、人とのつながりが少ない人より長生きしている。対して、孤立して生活している人はあまり幸せだと感じていなかった。中年期からの健康の衰えは速く、脳機能は早期から減退し、孤独でない人より寿命は短くなった。重大なのは友人の数やパートナーの有無ではなく、身近な人たちとの『関係の質』である。❝

たしかに、街で見る中年期の人々にそれを見ることができます。一方は、趣味や集まりに参加していたり、孫や友人と外出している人々。こういった人々は柔らかい雰囲気を纏い、総じて笑顔が見られる。対して、固い顔をした男性、暗く疲れた顔をした女性などは何が違うのだろうかと考えれば、おのずと幸福度の違いであるとわかります。

私自身も経験がありますが、人と合わない期間が長引けば長引くほど、人と接したときの感度(反応の速度や笑顔の有無、感情の起伏)は弱まっていきます。他者と関りを持つことも億劫になってしまうんですよね。

幸せな人生を生ききるために、今から始めるべきこととは

今は100歳まで生きる時代だといわれます。医療や薬が発達した現代では、たとえ嫌がろうとも何かが起きなければ「生かされる」社会です。
「終活」という言葉に、元気なうちに死んだ後のことを考え準備することは素晴らしいとは思いますが、両親が老いていくのを見るにつけ、まだまだ先は長いのだから、これからも充実した生活を送ること、健康で元気であることが、家族にとっても一番良いのだと感じました。

ミドル世代の私たちも、もう20代の若者ではありません。「終活」ではなく、「生きるための活動」は、今から考えていかなければならない課題であると言えるでしょう。独身が増えるこの社会で、どういったコミュニティを持っていくか、創っていけるか。そのためにどういった活動ができるのか。ぜひ余暇に少しずつ考えてトライしていきたいものです。

そう。おそらく人生とは、最後の最後の瞬間まで『私は何ができるのか』『何をしたいのか』を追求し、追い求めるべきものなのですね。


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