2018/06/16
最終更新日:2020/06/08

睡眠障害の認知療法はこんなにある!自分に合う方法を探す


睡眠の問題が一向に改善しない・・・私は普通の社会では生きていけないのだろうか・・・どうしたら、きちんと眠れ起きれるのだろうか・・・。

睡眠の問題を長年抱えている人たちは、ある種の諦めと悲しみを持ち続けている気がします。

私の睡眠障害と認知行動療法の体験から、今回は認知行動療法にもいろいろあるということを専門書を参考にしながらまとめてみました。

参考にした書籍は記事下に紹介しています。各段落は各種療法を私なりに解読、感想を付け加えたものです。

「そんなことしたって、私の睡眠は改善しない気がする。」と思う方は、まず私の体験談であるこちらの記事を読んでみてください。
⇒【関連記事】認知行動療法で私の睡眠が改善した体験

もっとも、万人に必ず効果があるとは言えないのが認知行動療法の弱みです。

人によって合う合わない、効果があるなしは、体質・生活スタイル・仕事の状況など、たくさんの条件が積み重なっての要因に左右されます。
生活状況で、認知療法を十分に試せない方もいるでしょう。

しかし、「どこかに自分に合う方法がある」「改善する可能性はあるんだ」という希望を持ってもらいたいがために、このような記事を書いています。

さて、睡眠障害に対する認知行動療法の代表的な療法である「睡眠制限療法」はもっとも威力があり、しかしながら一時的に大変ツラいという体験に関して上記リンクの記事に書きましたが、ここからは、その他の認知行動療法について紹介していきます。

目次で各項目に飛べるので、興味のあるところだけ見てくださって結構です。

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睡眠圧縮療法(睡眠維持困難の方)

この療法は、睡眠維持困難だが日中の機能障害はない方に適しており、臨床の研究でも不眠症に効果的な方法であることが示されています。

入眠困難、睡眠維持困難、早朝覚醒型睡眠困難の方は別記事の「睡眠制限療法」がもっとも効果がありますが、反動がきつ過ぎる、仕事があるので難しいと言う方はこちらでまず試してみることをおすすめします。

日中の活動がある程度満足できる人で、でも睡眠に問題を感じている人は、睡眠時間を増やすことではなく寝床に入る時間を減らすことが目標となります。

睡眠に不満がある人は、「もっと寝たい」と思っていますよね?
でも、多く寝ても満足感は上がらないというのが臨床実験での結果だそうです。

試し方
1.2週間(ないし1週間)の総睡眠時間と寝床に入ってる時間から平均を割り出す。

2.平均の総睡眠時間と、寝床に入っている時間の差は何時間か算出する。
(たとえば臥床時間8時間、総睡眠時間6時間なら、差は2時間)

3.たとえば、2時間の差の場合は、1週間に20分ごと寝床に入ってる時間を減らしていき、
  最終的目標は、上記で算出した平均睡眠時間まで減らすこと。

4.毎日睡眠日誌をつけて、1週間後ことに睡眠評価をする。

5.目標は5週間(5回)で実験する。

ポイント

・就床―離床時間は本人の希望でよい。

・臥床時間を減らしたことで、日中に機能障害が生じた場合は短縮ペースをゆるめる。
 2週間ごとに減らす、もしくは15分ずつ減らしていく。

・夜遅く寝る、または朝に早く起きて増えた時間に、何をするかあらかじめ考えておくこと。

・スケジュールよりも早いペースで寝床に入ってる時間が短縮されたときは、(つまり、寝床に入ったらすぐに眠ることができ、朝の目覚めもよい)3週目であっても、一旦短縮ペースを止める。
これは、一時的なものである可能性を把握するのと、急速な睡眠短縮がのちのち体調などに現れるかもしれないため、反動を減らすことにつながる。

さて、ちなみに私がトライした「睡眠制限療法」は、臥床時間を上記のように段階的に減らすのではなく、スタート時から一気に減らす方法です。確実に、3日間くらいはすごい眠気です。

はっきり言って、とんでもなく辛かった。

翌日に支障をきたすどころか、ほとんど仕事になりませんでした。

ですので、仕事がある人はこの「睡眠圧縮療法」をおすすめします。

刺激制御療法(急性・慢性不眠症の方)

この療法は、睡眠障害全般に効果がある方法です。

人の環境や精神はどちらも、場合によって刺激として睡眠に影響するので、それを制御することによって条件付けをし、刺激を減らすことを目的とします。

つまり、寝床が眠ろうと努力するストレスを生み出し、眠れないかもという不安や、寝床に行くと目覚めてしまうという癖がついている人は、それを修正して、寝床にいくと眠くなるというふうに変化させることを目標にします。

方法
・寝床の中で勉強、本よ読む、テレビを見る、スマホを見るといったことは目が覚める要因になる。よって、寝床では睡眠とセックス以外は禁止。
考え事、心配、瞑想なども寝床では行ってはならない。

・眠くなるまで、違う部屋で何をするか?
仕事やパソコンは刺激が強すぎるので避けた方がよい。
スマホもあまりよくないが、TVは離れてみる分にはマシである。
照明はなるだけ暗いほうがよい。

・寝床にはいった場合も、15分寝れなかったら、寝床から再度出る。
(眠くなったときだけ、寝床に入る。時計は見ないで、眠るためだけに寝室を使うこと!目標は、寝床と睡眠を結び付けることなのですから。

つまり、眠れない人は夜中じゅう、ベッドに入ったり出たりを繰り返すことになります。

正直、最初はツライとしか言えません。

でも、30分以上も悶々とベッドにいるのは逆に悪影響だと信じてください。
1~2週間、慣れるまで少しツライとしても、「必ず眠くなる」ということは私の実体験です。

・空き時間に何をするかをあらかじめ考えておくことは大事。

・起床時間はだいたい守る。(エビデンスではきっちり守ると書かれているが、私はある程度でやっていました)

・昼寝はしてはいけない。(私は、睡眠が3時間しか取れなかったときは、昼寝をOKにしました)

時計は見ないようにと書かれることが多いですが、私は睡眠日誌を書くために時計は見ていました。

しかし、時計を見ることで極度に不安になったりイライラする人は、時計を見ないようにしたほうがいいです。(睡眠日誌に中途覚醒を正確に書く必要はない)

ここで質問したくなるのが、「どうしても眠くならなかったら、一睡もしないのか?」という内容でしょう。

これは、私の体験では「朝にはさすがに眠くなります」と言えます。

私のように非24時間型睡眠覚醒症候群の人は、昼から夜に眠るサイクルのときは眠らないでしょうが、普通の人はそうはなりません。朝には眠くなります。

「そしたら、朝7時に起きる場合、2~3時間の睡眠しかとれないじゃん!」

そうですよね。つらいですよね。でも、それを乗り越えると、変わります。

5時間寝床でごろごろするくらい眠れなかった私が、いまや15分で眠れるようになったのですから。

対策としては、トライするのは、連休か土日にトライすることをおすすめします。

また、最大の効果を求める場合は「時間制限療法」か「睡眠圧縮療法」と組み合わせるのがベストです。

もっとキツくなるって?

いやいや、逆に時間を圧縮する時間設定をしたほうが不安が減るんです。

たとえば、「8時間眠らなければならない」と思っていると、夜に眠れない場合にどんどん不安や心配、いらいらが増えます。

でもたとえば「今週は6時間に設定してるんだな」と思っていると、2時間眠れなくても「まだ6時間あるな」などと心に余裕が生まれます。

最後のポイントとして、自分の体と心の声を聞きながらトライすることが必要です。

やらされているのではなく、自分で決めて行動することで、多少ツライことも納得感や達成感、我慢のしがいにつながります。

睡眠衛生(睡眠に悪影響な習慣・薬・環境を改善する)

これは、睡眠を改善するために一般的によく紹介されている、何を我慢したり制限することがいいのかという内容です。
他のサイトでも多数見られますので、箇条書きのみで紹介します。

・寝るためにアルコールを使わない
アルコールは寝着きやすくなるという反面、眠りを浅くする。
また、睡眠を制限したり圧縮したり、寝れないときに寝床を離れるという療法を行うことが難しくなる。

・寝る前のニコチンは避ける
しかし、ヘビースモーカーの急な禁煙は、喫煙と同じくらい睡眠に悪影響である。
(私のことですね。私は睡眠治療を始めたときに禁煙を試みましたが、睡眠制限がつらくなって、日中眠くてたまらなくて、イライラが増えたために、喫煙を再開しました。今もまだ喫煙者です)

・コーヒーを寝る前に飲まない

・「寝る前に食事をしてはいけない」は適切ではない
空腹は寝ている時に血糖値の低下を招き、中途覚醒につながることがある。
エビデンスでは、寝る前に炭水化物の軽食を取ることは血糖値の低下を防ぐことに役立つとなっている。(甘い物などの加糖食品はNG)

これについては反対の意見も書籍などで多くみかけます。
しかし、それは1日3食、きちんと取っている人の話です。

仕事で前の食事から8時間もたっていて、空腹なのに、食事しないなんて余計に眠りに悪影響です。お腹が空いている、または前の食事からかなり時間がたっている人は、食事をしたほうが身体的にも精神的にも、リラックスにつながると思います。

・熱いお風呂は避ける。2時間前までに入浴は済ますのがベスト

・夜に室内の空気を入れ替えるか、空気清浄機を使って、空気環境を整える。
室温は、春~夏は23~25度、冬は19~20度が私はベストです。自分の快適な温度で過ごすようにする。

・寝る前に水分を取りすぎない。寝る前にトイレに行くこと

・夜の軽い有酸素運動は睡眠を深くする。
また、週に3回程度、夕方までの30分くらいの運動は睡眠に効果がある。

・騒音がある住居の場合は、耳栓などを利用する

・ペットと一緒に眠らない
これは動物を愛する人には難しい課題だが、眠りを妨げられる要因になるのは確かである。

・朝は同じ時刻に起きるようにアラームを設定する
(私はしていなかったですね。仕事をしていない時期だったのと、あまりにも睡眠時間が短くなったので、アラームがもはや必要なかったからです。しかし、エビデンスでは同じ時刻に起きることが重要だとされています)

睡眠衛生を改善することは治療を促進したり、治療の妨げになってる要素を減らすことにつながるのは確かです。

不眠に対するリラクゼーション(夜間に覚醒・興奮しがちな人へ)

リラクゼーションは、入眠困難に対して効果を発揮するとされています。

まずは、環境を整えることから。

・できるだけ静かな環境にする
(完全に静かではなくても、自分が心地よく安心できる程度でよい。音楽を聞いてリラックスできるのならそれでもよい。)

・抽象的なことに集中する時間を作る
たとえば、東洋の響きを持つ「オーム(om)」などの言葉を心の中で唱える、花やキャンドルを注視する、呼吸に集中する、自然や個人的な対象物をイメージするなどがあるそうです。

私は一時、瞑想を取り入れていましたが、今は瞑想テープを聞きながら眠ることにしています。
テープの内容を頭にイメージしていると、気づいたら寝れるようになりました。

個人的には、娯楽(とくに漫画)なんかはいいんじゃないかと思います。
漫画などはイラストがイメージを脳内で再現するので精神が集中しやすいです。
しかし、小説は絵がなくて文のみなので、想像に思ったより集中力を使い目が冴えてしまうと私は思っています。

・受動的な態度を学ぶ
つまり自分の心をコントロールしようともがくのではなく、自由に心を彷徨わせると自然に考えは消え落ち着いてくる。

たとえば、仕事がすごく忙しくって興奮している、嫌なことがあった、ストレスがひどかった日に、無理やり忘れようとしても無理な話で、趣味などで紛らわせても、時間がたつとまた考えてしまうものです。

ですから、あえてそれについてぼーっと考える。
「今日は疲れたなあ」「イライラしたな、なんであんないらいらしたんだろう」など、心を静かに眺めるようなイメージです。

・深呼吸を意識して行う
実は人は働いているときは呼吸がとても浅くなっています。
実際、深呼吸は意識しないとしていません。

あるインドの僧が旅人たちにリラクゼーションを教える際に、人々の呼吸の浅さにびっくりして、まず正しい呼吸の仕方から教えたという話があります。

リラクゼーション法の種類

・筋弛緩法
これは様々なやり方がありますが、私のやり方で書いておきます。

まず、深呼吸を3回~5回行い、次に体の力を抜いていく。
足、ふくらはぎ、股、お尻、腹部、胸、背中、腕、頭、顎の筋肉をくつろがせる。
部位を唱えながら一つずつに意識を向けていくと、筋肉がゆるみ力が抜けるのが、はっきりと実感できるだろう。

体の力が抜けきるまで繰り返すことと、間に腹部だけの呼吸や胸だけの呼吸を挟むと良い。

・自律訓練法
私の筋弛緩法と似ていますが、穏やかな光景を心に思い浮かべて自律的な言葉を繰り返す方法です。
「左足が温かい・・・」「右腕が重くなってくる・・・」など温度と重さに重点を置いて、規則正しい呼吸を繰り返しながら、各部へ意識を向けていく。

・ヨガ
ヨガは今では一般的ですが、その真の目的は「人生を充実させ、意識状態を変化させること」です。
呼吸、思考への気づき、身体を伸ばして強くするためのポーズから成り立つ。
ヨガの中でもクンダリーニ・ヨガが不眠症には推奨されると言われています。

⇒こちらのサイトがわかりやすいです。「クンダリーニ・ヨガでチャクラを活性化!

その他、マインドフルネス療法(瞑想と不眠症の認知行動療法を組み合わせたもの)、イメージ法(過去リラックスしていた光景などの思い浮かべる)、バイオフィードバック(コンピューターや増幅器で体の反応を被験者に伝え、実感と気づきを与える)などのあるそうです。

ちなみに、私が以前から自発的に行っているのは、お風呂上りにヨガやピラティスを真似したストレッチをすることと、眠るときに自分の声で録音した瞑想音声を聞くということです。

もっとも効果があるのは、自分なりのリラクゼーションを編み出すことだと私は思います。

逆説志向療法

・睡眠を取ろうと「努力することへの囚われ」をなくす
たとえば、よく眠れる人は眠ることを過度に気にしたりせずに眠れる。特別に何かの努力をしない。眠ることに囚われていないほど、リラックスしているので、結果眠れることになる。

・眠るために努力しない、諦める
「まあ、眠れなくても、最悪なのは翌日にひどく眠いだけだ。死ぬわけじゃない」と最悪な状況を考えることで、「眠くて効率は悪いだろうが、何もできないわけではないし、ツライとしてもとりあえず1日だけだ。明日は眠れる。」などと、ある種楽観的になれる。

・眠ることを放棄する
「もう、今日は寝るのをやめる」と決めることによって、逆に不安がなくなる。また、起き続けようと努力をしても、実際は寝てしまったということが多数報告されています。

また、寝てしまう可能性も考えて、寝床の中に入って「寝ないように無理やり努力」するのも1つの方法として紹介されています。
「眠らない、眠らない、眠らないぞ~」と頑張るってことですね。ベッドで。笑

長時間寝床にいることや眠れるかどうかの予期不安、日中のパフォーマンスが落ちることへの過剰な心配をなくすことができれば、リラックスでき、睡眠の改善につながります。

私のまとめ

ぶっちゃけると、ここで長く書き連ねた方法は、実際に効果はあるけれども、継続してトライしていけるかが一番難しいと思います。

たとえば、お風呂上りのストレッチがとてもリラックスできると不眠で困ってる友人に伝えても、友人は試しません。

同じように、睡眠を改善させたいと思っていても、自分が心地よい、メリットを感じられる、その行為が好き、気に入ったなどの感情が伴わなければ、人は行動をしない又は持続させられない。

つまり、認知行動療法を本気でやれるのは究極に苦しんでいる人であり、そういった人にこそ試してほしいと思います。

私は「もう社会で働けないな。」「どうやったら生きていけるだろう。」「こんな生活じゃ、結婚どころか誰かと住むのも無理だな。」と、将来の色々なことに対して諦めの気持ちを持っていました。
淡々と受け入れるというより、静かに悲しむという感じでした。

小さい部屋と、私の体ひとつ。貯金もないし、来月の家賃を払う手立てもない。
そういうところまで行くと、もうやれることをやるしかなかったのです。

薬もどんどん試すし、何かが効果があるならやってみるし、トライすることで少しでも何かが変わるなら、嫌でもやってみる気になりました。
(別記事でも書いてますが、私は基本的に拒薬患者でした。薬を嫌がって飲まない患者のこと)

でも、薬を真面目に飲み、睡眠日誌を真面目に記録し、調整し、認知療法に行きつくころには、もう「やってやるぜ!」って腹をくくっていた気がします。

そして今まさに効果を実感できているのは、薬治療と「睡眠制限療法」「刺激制御療法」のおかげです。

薬を併用しない認知行動療法が、どこまで効果があるのかを厳密に私が言えるわけではありませんが、一つの体験談として参考になればと思います。

また、今後の治療についてもUPしていきます。

⇓今回の参考資料はこちら

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